本年もどうぞよろしくお願いいたします。 昨年は ひとかたならぬご厚情を賜りまして心より感謝申し上げます。 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます |


最近、痒みがなかなか治らない方を何人かお見かけすることがあります。
普段、蚊などの虫刺されで痒いときには、
かゆみ止めの薬を塗って、それで治れば問題はありません。
でも、そうではない痒みもあります。
薬を使っても なかなか治らない。
どうも虫刺されとかではなくて、
一旦よくなっても 同じような湿疹を繰り返す。
こうした場合は、皮膚だけを整えればよいとは限りません。
痒くなっているのは外からの刺激だけではなく、
身体の内側にも原因があるかも知れない…
そんな見方が必要になることがあります。
湿疹に「湿」と言う字があるように、
痒い皮膚の下からじくじくと水がにじむものもあります。
長引く湿疹を治療する時は、少し皮膚から離れて身体全体を見てみます。
食欲やお腹の調子はどうか。
むくみはないか。
身体の重だるさはないか。
湿疹とは別のことのようですが、そこに「水」にまつわる体調不良があるかどうかを確かめます。
「身体に水がちゃんと流れているか?」
という方向から原因を探るためです。
身体の水分は、成人でおよそ60%です。
これほど多くの水が身体にあるのに、
普段の生活の中で、
「その水がどう使われ、どう処理されているのか」
と言う水の循環を意識している方はあまりおられません。
飲んだり食べたりしたものは
胃に入り消化され、
膵臓が酵素を出してその消化を進め、
小腸で栄養や水分が吸収されていきます。
胃と膵臓と小腸、
現代医学では、それぞれの働きとして理解しますが、
この一連の過程を、東洋医学的に見るときは
『まとめて「脾」の働き』として捉えます。
この視点は、あまりお馴染みではないと思います。
「脾」は、五臓六腑の五臓、
「肝・心・脾・肺・腎」の中の一つです。
名前から「脾臓」を思い浮かべますが、
解剖学の脾臓とは違います。
東洋医学で言う「脾」は
食べ物を消化し、栄養や水分を身体に取り込む働きに関わっている「臓」になります。
飲んだり食べたりして身体に入った水分は
「脾」の働きによって体内にとり込まれる、と考えます。
水は「脾」によって取り込まれたあと、全身に送り出されます。
東洋医学では、身体を巡り、潤す水を「津液(しんえき)」と呼びます。
「津液」は必要な場所で使われ、余ったものは外へ出ていきます。
しかし、
「脾」の不調から、水の流れに滞りが生じることもあります。
本来は「津液」として使われる水が、うまく巡らず身体の中で持て余される。
こうした滞りの状態を「湿」と言います。
「湿」があると、
胃腸の調子が良くなく、消化不良で便がゆるい、
身体が重いといった症状として現れることがあります。
また、その影響が皮膚にまで出ると、じくじくした湿疹につながることもあります。
こうした水の循環の仕組みから
湿疹の治療では、「脾」がうまく働いているかどうかを見つつ、身体を整えていくことになります。
いろいろな症状の元になる「湿」ですが、
日ごろから「脾」のコンディションを整えて
身体に「湿」を溜めないように心がけておきたいものです。
「脾」は消化器系なので、やはり飲食物の影響は大きいです。
「脾」に負担をかけないというのは、
つまり、現代医学的に戻せば「胃腸」に負担をかけないという事です。
それは案外イメージしやすいのではないでしょうか。
アレルギーなどの食事制限の場合は食べてはいけないものがあります。
でも、その必要がないならば、
「良い食べ物」「悪い食べ物」と、食べ物を選別するよりもまず、食事の量やパターンを見返してみる方が良いと思います。
今年の夏も酷暑だったので
冷たい飲み物や食べ物が必要だった日も多かったと思います。
スタミナをつけようと、脂っこい物をたくさんたべたかも知れません。
そのぶん、ついつい「脾」に負担をかけていたのではないでしょうか。
今はそろそろ夏が終わり、秋へ向かう時期です。
気候にあわせて、食事の内容も見直す良いタイミングです。
冷たいものや甘いものを少しずつ減らし、
火を通した温かい野菜を取り入れながら
秋の身体に合う食事へゆっくり移していけるのではないでしょうか。
胃腸 …(脾)をいたわり
お腹のコンディションを整えるために
身体にきれいな水が巡っているのをイメージしながら
移り変わる季節の中で
穏やかに過ごすことをおすすめします。

2026/ 9/29